家計の支出の見直しを始めようとする人が、「支出の項目が多くてどの支出から手をつけていけばいいのか分からない」と悩むケースは非常に多いです。
私は家計改善始めたての頃は改善する支出の順番もわからなかったため、小さな支出ばかりを見直していたせいで結果が実感しにくく何度も挫折しそうになった経験があります。
しかし、毎月発生する固定費を見直してみると月34,450円、年間417,260円もの支出削減にあっさりと成功しました。(※年間削減金額は月払いから年払いへ変更したサブスク費の削減費を含む)
さらに、削減できた毎月固定費の金額分は見直し完了以降は無意識下でもその恩恵を継続的に受け続けられることで、その他の3分類の支出改善に注力する環境が整い、より家計改善が捗るという好循環になりました。
そこでこの記事では、家計管理初心者でも毎月固定費を削減して年間支出を簡単に抑えられるよう「毎月固定費」の考え方から削減方法までまとめて解説します。
この記事を読めば「無意識に毎月の固定費を抑える仕組み」が全てわかります。
「毎月固定費」は契約終了まで確実に支出が続く家計最大の敵
家計改善を始めるにあたり、支出の4分類のうち最初に「毎月固定費」を削減しましょう。
※支出の4分類についてはこちらの記事をご覧ください。


なんで最初に「毎月固定費」から見直すの?

毎月固定費は契約終了まで「確実に支出が続く」家計にとって最大の敵だからです!
まずは毎月固定費に分類される支出例を見てみましょう。
1.家賃
2.駐車場代
3.スマホ代(定額料金プラン)
4.Wi-Fi通信費
5.月額保険料
6.音楽や動画配信サービスの定額有料プラン
など
これらの支出は、「契約開始」から現在まで、そして「サービスの解約をするまで」毎月自分の財布からお金を放出し続ける支出(財布の穴)となります。
つまり、毎日生きているだけで発生する「必須生活コスト」であり、この財布の穴が大きいままだといつまで経ってもお金は貯まりません。
しかし、「6.音楽や動画配信サービスの定額有料プラン」については、1つのサービスを毎月1,000円弱で契約できるものも多く、気軽にいくつも契約してしまうという事態に陥りがちです。
そして恐ろしいことに、1つ1つの金額が小さくクレジットカード払いで他の支出に紛れやすいため、「自分の財布からお金が出ていっている」という感覚がない人が非常に多いのがこの支出の特徴でもあります。

クレジットカードの合計請求金額を確認した時に「なんでこんなに使ってるの?」となる原因は、1つ1つの小さな支出の積み重ねの結果であるケースもよくあります!
「サブスクリプション」は、一般的に上記で紹介した「6.音楽や動画配信サービスの定額有料プラン」のように、定期的に定額料金を支払うことでサービスを利用できるしくみのものをイメージする人が多いと思います。
しかし、「定期的に定額料金を支払う」を広義的にみると家賃や駐車場代、定額料金のスマホ代も一種のサブスクリプション費として捉えることができます。
つまり、「毎月固定費」に分類される支出については全てサブスクリプション費と考えることができ、定期的に契約しすぎていないかを見直すことが必要となります。
毎月の必須生活コストである「サブスク費」が低ければ低いほど「余剰資金」に回すお金が増えることにつながるので、「毎月固定費」の見直しは真っ先に開始したい家計改善なのです。
「サブスクリプション」は行動経済学から考えつくされた支出である
毎月固定費(サブスクリプション費)の見直しを始めようとすると、なかなか減らすことができないなと感じる人も多いでしょう。
それはサブスクリプションという仕組みが「行動経済学」から考えつくされた支出であるからに他なりません。
行動経済学とは以下のような学問です。
人間の実際の行動は感情や心理に左右され、必ずしも合理的ではないことを想定した上で、経済社会の中で人間がどのように行動するかを観察し、分析する経済学
(引用URL:野村證券 https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ko/A02530.html)
ここではなかなかサブスクを解約できないあなたがハマっている行動経済学の代表的な4つの罠について簡単に紹介します。

自分がなぜ解約できないのかメカニズムを知っておくこともとても大切です
①現状維持バイアス
現状維持バイアスとは、
未知のものや変化を受け入れず、現状維持を望む心理作用
のことです。(引用URL:Sprocket https://www.sprocket.bz/blog/20220729-status-quo-bias.html)
現状からの変化による「メリット」よりも、「損失やリスク」の可能性を大きく見積もる心理的傾向が人間には働きやすいです。
そのため、新しい選択肢よりも現状維持の方が安全だと感じやすく意思決定を先延ばしにする要因にもなります。

サービスの利用が日常化してしまうことで、それがなくなることを損失と捉えてしまいやめられないという心理が働いてしまったり、見直すのがめんどくさい、解約の手続きがめんどくさいからこのまま契約しておこうというのも現状維持バイアスによるものです。
②保有効果
保有効果とは、
自分の所有物を実際の価値よりも高く見積もったり高い評価をしてしまうことで所有する前とあとでモノに対する価値観が変わってしまう心理
のことです。(引用URL:unprinted https://www.unprinted.design/articles/endowment-effect/)
今まではそのサービスがない生活でも何一つ不自由がなかったのに、試しに利用し始めたら価値が高く感じられるようになってしまうのは保有効果の影響です。

無料お試し期間のうちに自分には必要なサービスだと感じて有料プランに変更して契約をし続けているのは保有効果によるものです。
③メンタル・アカウンティング
メンタル・アカウンティングとは、
人々がお金に関する意思決定をする際に、お金を単一の資源としてではなく、心の中で異なるカテゴリーに分類する
心理的傾向のことです。(引用URL:かんでんCSフォーラム https://www.kcsf.co.jp/marketing/mental-accounting.html)
本来であればお金は「どのように得たか」に関係なく金額が同じ場合価値は同じであるはずなのに、用途別にお金を色分けしてしまう心理的傾向が働いてしまいます。

サブスク費は最初にクレジットカード決済の手続きを済ませてしまえば翌月以降は自動的に引き落としされるので気軽に利用する傾向になるなどがメンタル・アカウンティングの影響です。
④損失回避性
損失回避性とは、
損失を避けようとする人間の思考の習性
のことです。(引用URL:かんでんCSフォーラム https://www.kcsf.co.jp/marketing/prospect.html)
また、人は「利益」よりも「損失」の方が同一の金額でも心理的に強く感じてしまう傾向にあります。損失回避性は先に紹介した保有効果とも密接な関係があります。

解約することで失われる会員限定ポイントや特典が損だと認識してしまい、なかなか解約に踏み出せないのは損失回避性の影響です。

行動経済学の一例を教えてもらったけど、これだけの心理的傾向が相互に作用したら解約も一苦労なのがよくわかるね…。

これらの人間の心理的な傾向を研究し尽くして提供されているのがサブスクリプションだということをしっかりと理解して気軽に契約しないように注意しましょう!
毎月固定費の見直しを始めよう
「毎月固定費」の削減は無意識下でも効果が持続的なものである
毎月固定費を最優先で見直す最大のメリットは、一度削減することができたら削減した支出分は無意識な状態でも持続的に効果を得られる点にあります。
毎月変動費にあたる食費などの場合は、毎月の予算を設定しても「今月の予算内に収めるために今日の買い物は3,000円までにしておかないと」と毎回意識しなければ予算内に収めることは難しいです。
しかし、毎月固定費の場合は「この費目の支出は毎月この金額までにしよう!」と目標設定して契約(支出)を一度見直せば、それ以降の支出は予算通りに収まり続けるので意識する必要がなくなります。

毎月必ず出ていくお金だからこそ、本当に必要なもの・必要な内容だけに絞っていくことが大切なんだね!
そして、毎月固定費を今の自分に必要なものに絞り込んで見直すことができれば、支出の4分類のうち残りの3つに注力して家計改善に臨むことができるという好循環に繋がります。
少額なサブスクリプション費はサービスの重複を確認しよう
今の自分に必要なものに絞り込んでいく際、まずは契約している各種サービスで同じようなものに支出をしていないかを確認してみましょう。
今回は契約内容が重複しやすい3つのコンテンツを紹介します。
動画コンテンツ
動画コンテンツ系ではNetflixやHulu、DAZNなど各種配信サービスが展開されていますが、いくつもサービスを契約していても視聴できる時間は限られています。
使用頻度が一番高いものだけに絞ってみたり、観たいものが配信されている時だけ契約するというマイルールを決めて契約することも検討してみましょう。
私の場合、映画やドラマを見る機会がほとんどないので動画コンテンツ用に契約しているサービスはありませんが、Amazonでの買い物のためにAmazonプライムを契約しています。
Amazonプライムであれば無料の配送特典だけでなく、Prime VideoやAmazon Music Prime、Amazon Photo、Prime Readingなどの特典が受けられます。
1つのサービスで買い物・動画配信、音楽、ストレージ、読書サービスなどの複数の特典が受けられるので動画コンテンツ消費が少ない方におすすめです。
音楽コンテンツ
音楽系のサブスクではSpotifyやApple Music、YouTube Musicなどがありますが、動画コンテンツ系でもあるYouTube Premiumを契約すればYouTube Musicも追加料金なしで利用可能となるため、1つのサービスに動画コンテンツ・音楽系を1つの支出にまとめることができるかもしれません。
YouTube Premiumでは、
・YouTube Musicで広告なしの連続ストリーミングができる
・動画再生中の広告が表示されない
・動画を一時保存してオフライン再生できる
・バックグラウンド再生できる
といった特典が受けられるため日々の生活満足度も高くなりおすすめのサービスです。
最近では動画途中に差し込まれる広告で、有名クリエイターのアカウントを装った悪徳なお知らせが流れてくるケースもあります。
そのような広告に影響されてお金を騙し取られてしまうと家計にもダメージを受けてしまうため、広告のシャットダウンは家計防衛という副次的な効果ももたらしてくれます。
読書コンテンツ
Kindle Unlimitedや楽天マガジン、dマガジン、日経電子版などがありますが、雑誌だけでなく小説や実用書なども読みたい場合はKindle Unlimited、雑誌のみの場合は半額程度で楽しめるdマガジンか楽天マガジンに絞るなどの方法が考えられます。
日経電子版については、楽天証券で口座開設をしていれば日経テレコンの利用が無料となります。使い慣れるまでに少々時間がかかるかもしれませんが必要な情報は閲覧できますし月額数千円を浮かせられるので選択肢の一つに入れてみてください。

今後の資産形成で証券口座は必要になり、その中でも楽天証券は操作画面のわかりやすさや楽天経済圏との親和性も高いのでおすすめです!
その他サービス
上記の3大コンテンツのほかにも、以下のサービスでも改善を検討してみましょう
・スマホ本体を購入する際に契約した修理補償サービス
→いつ故障するかわからない・もし故障したとしても貯金があれば買い替えで対応できる、
と割り切って解約をしてみる
・クラウドサービスの有料プラン
→本体の保存データの見直しでそもそも契約しなくて済むか、Amazonプライムの特典の一つの
Amazon Photoを利用することで代用できないか検討する
・クリエイティブ系の月額プラン
→Adobe Creative Cloudなどのサブスク形式のアプリをたまにしか使用しないのに
ずるずると契約している場合、その他買い切りアプリで代用できないかを検討する

最近はコンテンツごとに契約するよりも、Amazonプライムのように1契約内に様々なサービスを複合して提供してくれていることも多いのでどんどん活用していきましょう!
金額の大きな毎月固定費は現在の自分の状況を十分に把握してから見直そう
住居費(家賃・駐車場代)
毎月固定費の中で最も大きな支出が「家賃」となっている家計は大多数を占めると考えられます。そして家賃とも密接に関係してくるのが駐車場代です。
一般的に住居費は以下のようになることが考えられます。
・都市部→家賃高め。公共交通機関利用メインで車が不要となる
・郊外 →家賃安め。勤務地や居住地域によっては車必須で駐車場代もかかる
勤務地や転勤などの兼ね合いがあるためすぐに見直すことが難しい費目ですが、都市部から少し離れていても勤務地までの交通の便が良い立地を見つけられれば、都市部よりも家賃が抑えられて車が不要にできるケースも多くあります。
車を手放すことができれば、毎月固定費の駐車場だけでなく、ガソリン代や自動車税、車検代、各種メンテナンス費用、任意自動車保険料を削減することができます。

年間で数十万単位の支出削減も可能となるので、車を手放そうか悩んでいる方は真剣に検討してみましょう!
保険料
日本人は民間保険に加入している割合も非常に高く、家計における支払保険料の負担も大きくなっています。
公益財団法人生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(個人調査)によると、年間払込保険料の平均金額は、性別で見ると男性で20.6万円/女性で16万円、世帯別で見ると2人以上世帯35.3万円/単身世帯14.4万円となっています。
(生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/2024(令和6)年度 参考URL:https://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/847.html)

世帯別を月平均に換算すると、12,000円~29,417円を毎月保険料として支出していることになります。
日本は公的保険が充実しているため、けがや病気の場合でも
①健康保険(原則3割負担、高額療養費制度あり)
②年金保険
③雇用保険
の各種公的保険が私たちの生活を守ってくれます。
これら公的保険のことを十分理解せずに、「けがや病気になったら不安だからとりあえず民間保険は入っておくのが正解」と深く考えずに民間保険に加入して毎月保険料を支払っている人も多いです。
扶養親族がいる大黒柱の方や自営業の人で保険をかけることは自分や家族の生活を守る上でも必要なことですが、単身世帯や共働きの場合、適切な資産形成を行っていれば公的保険の活用で生活を維持することは十分可能です。

あなたが今契約している保険は「どんな事態を想定した内容の保険か」を見つめ直してみよう!
ましてや貯蓄型の養老保険や個人年金保険、外貨建て保険などに至っては、保険料や手数料が高いのに保障が少なく、解約返戻金(リターン)も掛金の割に小さいことがほとんどなので、最低限の掛け捨て生命保険で必要な保障を受けられる契約に見直すなどして毎月の支出を抑えることも検討しましょう。
一方で、生活する上で車が欠かせない人にとっては任意自動車保険は必須となります。
事故を起こしてしまった場合、法律で加入が義務付けられている自賠責保険では補償額上限を上回り生活を破綻させてしまう可能性も十分に考えられます。
車両保険など必要以上に保険をかける必要はありませんが、対人対物の補償無制限などの最低限かけるべき保険内容に見直して支出を抑えることも検討しましょう。
携帯キャリア
毎月のスマホ代も家計にとっては大きな支出になっています。
3大キャリアの場合、毎月約8,000円ものスマホ代がかかります。

久しぶりに各社のホームページを見たけど、割引適用後の料金ばかり記載されていてすごくわかりにくかった…
近年では格安SIMでの契約も一般的になっており、データ容量の制限も考慮する必要がありますが、1GB最安クラス290円~、20GBで1,400円程度から契約が可能です。
3大キャリア同様のデータ容量無制限プランで比較すると、楽天モバイルが3,278円で利用でき半額以下に抑えることができます。
さらにデータ容量無制限プランの場合、自宅でWi-Fiの回線を別途契約している人はスマホのテザリング機能を活用することでWi-Fi回線分の月額料金を浮かせることができるケースもあります。
3大キャリアを契約している人は以下の特徴に当てはまっている人が多いのではないでしょうか?
・昔から使い続けている
・契約を見直すのが面倒
・毎月使用するデータ容量はそれほど多くない

最近はキャリアの乗り換えも想像以上に簡単にできます!
手軽に毎月固定費を見直せる費目の一つなのでぜひ検討しましょう!
注意:見直しばかりで日々の満足感を0にしないようにする
ここまで色々な支出の削減方法について提案してきましたが、全てを言われたままに見直していくと「日々の楽しみがなくなる!」と感じる人もいると思います。
将来への資産形成も必要不可欠ですが、「今と未来のバランス」を考えて支出を管理することが最も大切なことだと考えています。
そのバランスを模索するのが家計管理の難しい部分でもありますが、今を犠牲にして将来に全振りしてしまうと「若い時にこれをやっておけばよかった」と後悔しても取り返しがつきません。
あくまでも現在の支出で「使用していない・過剰な部分」を削減して将来のゆとりに繋げる、という点をお伝えできればと考えています。
私の場合、通信費の面では楽天モバイルで毎月約20GBの通信容量を消費していますが、自宅の光回線契約もしています。
これは動画視聴の快適性の他に、スマート家電やロボット掃除機をWi-Fi接続して日々の生活をより快適にし、快適になった分をブログ作成やYouTubeの動画作成などの自分の取り組みたい活動に活用したいという思いもあり、自分の中でゆとり費として予算を組んでいます。
また、自宅も公共交通機関が充実しているエリアですが車を所有し、駐車場も契約しています。
これは自分の趣味がキャンプや車中泊などアウトドアなので行きたいと思った時に自由に行動できるようにしていたいという思いがあり、光回線同様にゆとり費として考えています。
ゆとり費の予算を組む代わりに、家賃を少し抑えた物件にしたりその他の費目の予算を低めに設定して全体のバランスをとるように心がければ、今と未来のバランスを考えた家計管理になると実感しています。

家計管理は我慢ばかりではなく、「人生を豊かにする支出であるか」「今と未来のバランスが取れているか」を考えることも大切です
まとめ:毎月固定費を「今の自分にとって過剰な部分」を見直して支出削減しよう
今回は第一優先で見直すべき支出の「毎月固定費」の本質から改善方法までを解説しました。
1.毎月固定費は契約終了まで続く家計最大の敵であることを理解しよう
2.サブスクリプションは行動経済学で考え尽くされたサービスであることを理解しよう
3.毎月固定費の見直しは「今の自分にとって過剰な部分」になっている契約を見つけて改善しよう
毎月固定費を見直すことができれば、意識しなくても自然と毎月の支出が減り、残りの3分類の支出改善へ注力できるようになります。
毎月固定費がなかなか改善できないなと立ち止まっていた人は、ぜひ参考にしてみてください。
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